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クジラに落ちた男

6 時間前
読了時間: 5分

先日、何をとち狂ったのか、映画館で『クジラに落ちた男』と『バイオハザード』を1日で2本続けて観てきました。


暗闇の中で4時間以上を過ごす。これはもう修行です。


まずは、巨大なマッコウクジラに丸呑みにされた青年が、酸素不足に苦しみながら脱出を試みる『クジラに落ちた男』。ほぼ全編がクジラの体内という、とんでもない閉塞感のある映画です。


続いて『バイオハザード』。今度は雪のラクーンシティで、普通の配達人がゾンビの群れから逃げ回ります。


クジラの胃袋からようやく解放されたと思ったら、今度はゾンビだらけの街。


しかも、この2本、どちらも主役を演じているのは同じ俳優、オースティン・エイブラムスです。『ウォーキング・デッド』『ユーフォリア』『ウェポンズ』などにも出演しています。





さっきまでクジラの内臓にいた人が、今度は雪の中でゾンビに追いかけられている。


この俳優さん、今日は一度もまともな場所にいません。


まったく違う種類の絶望を立て続けに見せられ、映画館を出る頃には妙な疲労感だけが残りました。


「……俺は今日、いったい何と戦っていたんだろうか」


そんなわけで今回は、先に観た『クジラに落ちた男』の話です。




監督は『誰も助けてくれない』のブライアン・ダッフィールド。ほかにジョシュ・ブローリン、エリザベス・シューが出演しています。


原作はダニエル・クラウスの小説『Whalefall』。


主人公は、海で亡くなった父親の遺骨を探すために海に潜った青年。父親はダイバーで、幼い頃から息子にダイビングを教えていました。


ところが、海中で巨大なイカとともにマッコウクジラに丸呑みにされてしまいます。


残された酸素は約1時間。父親から教わった知識を頼りに、クジラの体内から脱出を試みます。


単なるシチュエーション・パニック映画かと思いきや、親子の複雑な心情や、マッコウクジラのリアルな生態まで織り込まれています。極限状態からの脱出劇でありながら、しっかり物語を感じさせる映画です。


映画公式サイト:


そもそも、クジラに飲み込まれた人間がどうやって生きて帰るのか。


海で遭難する映画はたくさんありますが、遭難場所がクジラの内臓というのは、かなり斬新な設定です。


そんな壮絶なストーリーを観終えて劇場から放り出されると、自分の人生のスケールの小ささに乾いた笑いが出ます。


それでも、100分の1ミリほど、主人公と僕がかすかに重なる部分がありました。


僕も毎日、1人サロンというクジラの中で働いています、、、


主人公がクジラの胃袋の規則的な収縮に揉みくちゃにされるように、僕も自分で作った予約表に毎日規則正しく揉みくちゃにされています。


ただ、主人公と僕には大きな違いがあります。


彼は不運にもクジラに飲み込まれましたが、僕は自ら1人サロンという名のクジラに飛び込みました。


自ら望んだ形です、、、


そもそも、1人で美容室をやりたくて独立しました。


ところが、たまに「誰か雇わないんですか?」と聞かれます。


わざわざ自分からクジラに入った人間に、もう1人入れたらどうかと言われても困ります。


定員は最初から1名です。


主人公は必死にクジラから出ようとしていますが、僕は明日も自分から店(クジラ)に入ります。


もう10年以上、毎朝そうしています。


今さら救助隊が来ても困りますし、そのまま一緒に働き始められたら、何のために独立したのか分かりません。


1人でやるのが好きなのと、楽なのは別の話です。


仕事は、楽かどうかだけで選ぶものではなく、自分がどんな苦労なら引き受けられるかで選ぶものなのかもしれません。


僕はクジラを引き受けました。


上映後、マッコウクジラの生態についてぼんやり調べました。


マッコウクジラは深海まで潜り、イカなどを捕まえて食べています。時には水深2,000メートルを超えるような場所まで潜るそうです。


あの巨大な身体で真っ暗な深海へ潜り、獲物を探して死闘を繰り広げる。


人間からすれば自然ドキュメンタリーで特集が組まれるような光景ですが、クジラにとっては毎日の食事です。


僕も毎朝店を開けて、1人で仕事をして、掃除をして帰る。


大変そうだと言われることもありますが、本人にとってはこれが普通なんです。


ただ、クジラには毎月の家賃がありません。


そこは少し羨ましいです。


僕は来月も家賃を払います。


来月もスタッフは増えません。


最後に、ジョシュ・ブローリンの演技が素晴らしかった。

『とらわれて夏』『ノーカントリー』『アメリカン・ギャングスター』『ミルク』『ボーダーライン』『アベンジャーズ』『ウェポンズ』『ラスト・サバイバー』など、いろいろ観てきましたが、今回が一番良かった。


演じているのは、厳しくて不器用な主人公の父親。


息子との複雑な関係が、あの独特の存在感と演技で見事に伝わってきます。


サノスのときも怖かったですが、今回は指を鳴らさなくても十分怖い父親でした。


なお、このブログの内容について、ご来店時にお話しするつもりはありません。


「店長、クジラの中はどうですか?」


などと聞かれても、僕は真顔でハサミを置き、


「……で、髪の長さどうしますか?」とだけ言います。


読んだことは忘れてご来店ください。


こちらも忘れます。


ただし、髪のことは別です。


カットもカラーもトリートメントも、いつもどおり僕1人で担当します。


クジラの体内からの脱出方法は分かりませんが、髪のことならお任せください。


酸素ボンベの持ち込みも必要ありません。

 
 
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